糖化(AGEs)とは? 甘いものと肌の黄ぐすみの関係 ― 原因は糖だけではない

「甘いものを食べすぎると、肌が黄色っぽくくすむ」。そんな話を聞いたことはありませんか? その説明によく出てくるのが「糖化」という言葉です。
前回の記事では、糖質制限は「断つ」より「置き換える」という考え方を紹介しました。今回はその続きです。糖化とはどんな反応で、肌で何が起こるとされているのかを、立場の違う複数の本の説明から整理します。本に書かれていることと、まだ断定できないことも分けてお伝えします。食事と肌の関係の全体像はダイエットと肌の基本ガイドにまとめています。
糖化とは? 体の中で起こる「コゲ」のような反応
美容皮膚科医が書いた『美肌循環』は、糖化を「必要以上に糖質をとりすぎた結果、余った糖質が体内のたんぱく質と結びつき、AGEs(終末糖化産物)という物質をつくること」と説明しています。このAGEsは褐色をしている、とも書かれています。
糖とたんぱく質が結びついて茶色っぽい物質ができる。体の中で起こる「コゲ」のような反応、とイメージするとわかりやすいかもしれません。

栄養学の入門書『栄養学ベーシック』も、糖化(メイラード反応)を「酵素がなくても体内で起こる化学反応」の例に挙げています。
糖化で肌はどうなる? 黄ぐすみ・ハリ・うるおいとの関係
皮膚科の専門誌がサプリメントと美容を特集した号(『美容とサプリメント』)に、糖化を専門とする大学教授が解説を寄せています。ここではその解説を中心に、肌で起こるとされる変化を3つに分けて紹介します。いずれも仕組みの説明で、血糖値が上がりやすい状態を含めた「糖化ストレス」全体についての解説です。健康な人が甘いものを食べたときにどの程度起こるかを、人で確かめた結果として示したものではありません。
1. 黄ぐすみ
同誌の解説では、食後に血糖値が急に上がること(血糖スパイク)をきっかけにAGEsができ、皮膚ではAGEsがたまることで黄ばみが生じるとされています。『美肌循環』も、褐色のAGEsが体内にたまると黄ぐすみとなって現れる、と説明しています。
2. ハリや弾力
コラーゲンは、エラスチンとともに弾力のある肌をつくる働きをしています。同誌の解説では、コラーゲンが糖化すると線維どうしがつながってしまう「架橋(かきょう)」ができ、皮膚の弾力が低下するとされています。
3. うるおい
肌のうるおいに関わるたんぱく質に、フィラグリンがあります。分解されると、角質のうるおい成分であるNMF(天然保湿因子)になるとされています(『美容医療を受けてみたいと思ったときに読む本』)。同誌の解説では、糖化の影響でフィラグリンがつくられにくくなり、フィラグリン自体が糖化することでも保湿の働きが落ちるとされています。表皮(肌の表面側の層)のケラチンというたんぱく質が糖化すると、肌から逃げる水分が増えるとも書かれています。
化粧品の世界でも「抗糖化」という考え方が使われています。『化粧品成分事典』はエイジングケアの考え方のひとつとして抗糖化を挙げ、角質のうるおい成分であるNMF(天然保湿因子)が酸化や糖化のストレスで減ると保湿力が低下する、とも説明しています。
なお、同誌の解説は、AGEsの刺激を受けた色素細胞でメラニンが多くつくられ、シミにつながるとも説明しています。ただし、シミの原因は紫外線をはじめいくつもあり、糖化が原因と決められるものではありません。シミの種類と原因はこちらの記事にまとめています。
黄ぐすみの原因は甘いものだけ? 紫外線も関わるとされている
ここまで読むと「甘いものを控えれば黄ぐすみは防げる」と思うかもしれません。けれど、糖化の起こり方の説明は本によって少しずつ違います。
- 『美肌循環』:糖質をとりすぎて余った糖が、体内のたんぱく質と結びつく
- 『美容とサプリメント』(大学教授の解説):食後の血糖値の急上昇をきっかけにAGEsができる。さらに、紫外線による肌の老化(光老化)と糖化には相乗効果があり、皮膚のAGEsは紫外線を浴びることで生成が促される
- 『美容医療を受けてみたいと思ったときに読む本』(医師の執筆):紫外線で肌に活性酸素が発生して過酸化脂質が増え、その分解産物とたんぱく質が反応してできた終末糖化産物が黄色く見える
3冊目の説明には食べ物の話は出てこず、出発点は紫外線です。糖化の起こり方は一つではなく、「食べ物だけ気をつければよい」とは言えません。甘いものとの付き合い方とあわせて、紫外線対策にも目を向けたいところです。
糖化が気になる人が毎日できること
『美容とサプリメント』の解説者は、糖化を意識したケアは「生活習慣の改善を基本として」行うことをすすめています。本の説明をもとにすると、日常でできることは次の3つです。
血糖値を急に上げない食べ方を意識する
『美肌循環』の著者は、白い炭水化物から玄米・胚芽米・全粒粉パンなどの「茶色い炭水化物」へ切り替えると血糖値が上がりにくくなり、糖化をおさえることにつながる、と説明しています。置き換えのコツは前回の記事で紹介しました。食べる順番などは次の記事でくわしく取り上げます。
なお同じ本で著者は、以前は玄米を主食にしていたものの、胃腸への負担が少ないお米に切り替えたとも書いています。お腹の調子に合わせて、無理のない範囲で取り入れてください。
紫外線対策を続ける
紹介したように、紫外線も糖化に関わるとされています。『美容医療を受けてみたいと思ったときに読む本』も、くすみについて、光老化による悪化を避けるために日焼け止めを日常的に使うことが大切だとしています。
睡眠や疲れにも目を向ける
『美容医療を受けてみたいと思ったときに読む本』は、くすみは加齢や光老化のほか、季節の変化、疲労、睡眠不足などが重なって起こるとしています。糖化との関係が書かれているわけではありませんが、くすみ全体の見直しとして、食事だけでなく休息にも目を向けてみましょう。
「糖化ケア」で分かっていること・分かっていないこと
ここまでの内容には、次のような限界があります。
- 紹介したのは、著者の主張や研究者の解説が中心です。糖化と肌の関係について紹介した箇所には、対象の人数や期間を示した人での研究データは示されていません。健康な方にそのまま当てはまるとは限りません
- くすみは医学用語ではなく、皮膚科医にも明確な診断基準はないとされています(『美容医療を受けてみたいと思ったときに読む本』)。ご自身の黄ぐすみの原因が糖化だけ、と決めることはできません
- 甘いものを控えたときに肌の見え方がどのくらい変わるかは、紹介した本からは分かりません
肌の色が急に変わった、黄色っぽさが気になる状態が続く、ほかにも体調の変化があるといった場合は、自己判断せず皮膚科などの医療機関に相談してください。血糖値が気になる方、持病のある方や通院中の方は、食事を大きく変える前に主治医に相談しましょう。
まとめ:糖化は「糖だけ」の話ではない
- 糖化とは、余った糖とたんぱく質が結びつき、褐色のAGEsができる反応と説明されています
- 肌では、黄ぐすみ・ハリや弾力・うるおいに関わるとされています。ただし、本の説明は仕組みの紹介が中心です
- 紫外線をきっかけにAGEsができるという説明もあり、くすみの原因は糖化だけとは言えません
- 茶色い炭水化物への置き換え、紫外線対策、休息など、生活習慣の見直しが基本です
次の記事では、食べる順番など「血糖値を急に上げない食べ方」を取り上げます。
よくある質問
Q. 甘いものを食べると、黄ぐすみになりますか?
A. そうとは言い切れません。糖化と黄ぐすみの関係を説明する本はありますが、くすみは加齢や紫外線、疲れ、睡眠不足なども重なって起こるとされています。
Q. 糖化が気になるなら、甘いものや炭水化物は断つべきですか?
A. 紹介した本がすすめているのは、生活習慣を見直すことです。極端に断つより、白い炭水化物を茶色い炭水化物に置き換えるなど、血糖値を急に上げない工夫から始めるのが現実的です。
Q. 日焼け止めは糖化と関係がありますか?
A. 『美容とサプリメント』の解説では、皮膚のAGEsは紫外線を浴びることで生成が促されるとされています。紫外線対策は、糖化が気になる方にとっても基本のひとつです。
Q. 「抗糖化」をうたうサプリや化粧品は使ったほうがいいですか?
A. この記事では、特定の成分や商品のはたらきは取り上げていません。まずは、この記事で紹介した食事・紫外線対策・休息といった生活習慣の見直しから始めてみてください。
Q. 肌の黄色っぽさが気になるときは、どうしたらいいですか?
A. 急に色が変わった、気になる状態が続く、ほかにも体調の変化があるといった場合は、自己判断せず皮膚科などの医療機関に相談してください。血糖値が気になる方や通院中の方は、主治医に相談しましょう。

