水溶性食物繊維・不溶性食物繊維とは?水に溶けるかどうかで分けた、食物繊維の2つのタイプ
ひとことで言うと、食物繊維は水に溶けやすいかどうかで2つに分けられます。溶けやすいものが水溶性、溶けにくいものが不溶性です。どちらも人の体では分解しきれないので、便といっしょに外へ出るか、腸にすむ細菌に発酵されます(『栄養学ベーシック』)。

水溶性と不溶性の違いと、それぞれが多い食品
食物繊維は、糖の最小単位(単糖)がたくさんつながってできた「多糖類」の仲間です。『栄養学ベーシック』によると、2つのタイプは植物の中での役目も違います。
- 不溶性食物繊維: 植物の細胞を包む壁(細胞壁)の材料で、植物の形を支えています
- 水溶性食物繊維: おもに細胞の内側にある成分です
水溶性食物繊維は、おなかの中で水分を抱えこんで便をやわらかくし、善玉菌と呼ばれる腸内細菌のエサになるとされています(『新しい腸の教科書』)。細菌が食物繊維をエサとして取りこみ、自分が活動する力に変えるはたらきは「発酵」と呼ばれます(『たんぱく質と腸の新常識』)。京都府京丹後市の元気な100歳以上の人の腸内を調べた調査から、海藻や大麦などの水溶性食物繊維が腸内環境によい影響を与えていると考える本もあります(『9000人 腸のすごい世界』)。発酵のときにできる物質は、短鎖脂肪酸の記事で解説しています。
それぞれが多い食品の例です(『美肌循環』『たんぱく質と腸の新常識』『新しい腸の教科書』)。
- 水溶性が多い: わかめ・昆布・のり・ガゴメ昆布などの海藻類、オクラ、モロヘイヤ、もち麦(β-グルカンという水溶性食物繊維を多く含む)
- 不溶性が多い: キャベツ、大豆、きのこ類、玄米
- 両方をバランスよく摂れる: 納豆(大豆の発酵食品ですが、『たんぱく質と腸の新常識』では両方をバランスよく摂れる食品とされています)
ごぼうは、『美肌循環』では不溶性の例に、『新しい腸の教科書』では水溶性食物繊維の食品に挙げられていて、本によって分け方が違います。
摂る割合は「水溶性1:不溶性2」が理想とされています(『たんぱく質と腸の新常識』『美肌循環』)。ただ、多くの人で足りていないのは水溶性のほうだと『たんぱく質と腸の新常識』は説明しています。
量の目安として、同書が紹介する厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、18〜64歳の女性の目標量は1日18g以上とされています。同書によると、2019年の国民健康・栄養調査で目標量に届いていたのは一部の高い年代だけで、十分に摂るのが難しい栄養素だとされています。最新の基準は、厚生労働省の公表資料で確かめてください。
食物繊維のよくある誤解と注意
不溶性だけを一気に増やさない
食物繊維を増やそうとして主食をいきなり玄米に切り替え、かえって便秘になる人も少なくないと『たんぱく質と腸の新常識』は紹介しています。玄米に多いのは不溶性で、不溶性だけが急に増えると便が硬くなりやすいためです。玄米を取り入れるなら、まずは1日1食から始めて、おなかの様子を見ながら量を決めましょう。合う量には個人差があります。
同じ食品ばかりにしない
発酵が進むまでの時間は食品によって違います。そのため、何種類かの食品から摂ると発酵のタイミングが増えるとされています(『たんぱく質と腸の新常識』)。おなかの調子に特に問題がなければ、海藻、もち麦、納豆、きのこ、野菜などを組み合わせるのがおすすめです。
たくさん摂るほどよい、とは限らない
『小腸を強くすれば病気にならない』によると、もともと腸に不調がある人は、水溶性食物繊維や発酵食品を摂ると、下痢やガス、腹痛がかえってひどくなることがあります。同書は、大麦などの麦類、大豆などの豆類、納豆、ごぼうも、おなかの調子が悪い人には合わないことがある食品として挙げ、健康な人でも量を気にせず摂りすぎると不調のもとになると指摘しています。食物繊維を増やしてからおなかの張りや下痢・便秘が続くときは、自己判断で続けずに医師に相談しましょう。
関連する用語
- 短鎖脂肪酸: 腸内細菌が食物繊維を発酵させるときにできる物質
- 美容と栄養の用語集(一覧)
出典
- 『栄養学ベーシック』
- 『新しい腸の教科書』
- 『たんぱく質と腸の新常識』
- 『美肌循環』
- 『小腸を強くすれば病気にならない』
- 『9000人 腸のすごい世界』

