ダイエット中の便秘で肌荒れ? 原因と食物繊維「1日18g」の現実 ― 急に増やさないとり方

食事の量を控えるようになってから、お通じが滞りがちに。同じころから、肌のくすみやカサつきも気になってきた。そんな経験はありませんか。

これまで、ダイエット中のたんぱく質・鉄・亜鉛の不足や脂質のとり方を取り上げてきました。今回は「便秘」と「食物繊維」がテーマです。腸や人体、栄養の本に書かれている説明を整理してお伝えします。全体像はダイエットと肌の基本ガイドと腸と肌荒れの総まとめをご覧ください。

ダイエット中に便秘になりやすいのはなぜ? 食事量と食物繊維の不足

『人体の旅』では、便秘をおもに3つのタイプに分けています。大腸の動きがゆるやかになる「弛緩性便秘」、出口の近くまで来ているのに強くいきまないと出にくい「直腸性便秘」、ストレスで自律神経が乱れて起こる「過敏性腸症候群」の便秘です。このうち弛緩性便秘は、食事を抜くことや食物繊維が足りないことが原因になると説明されています。食べる量を減らしている時期は、この2つが重なりやすいといえます。

『人体の旅』によると、便の中身はおよそ8割が水分です。残りは、食べ物のかす(食物繊維)、はがれ落ちた腸の細胞、腸内の細菌が、ほぼ3等分しています。『新しい腸の教科書』では、大腸で腸内細菌が食物繊維などを発酵させつつ水分を吸収して便ができ、大腸にとどまる時間が長いほど水分が抜けて硬くなると説明されています。

毎日出なくても、すぐに便秘とは限らない

『人体の旅』では、排便が1日3回から3日に1回くらいまでなら正常の範囲とされています。便秘かどうかは回数だけで決めず、強くいきむ必要があるか、出しきれない感じ(残便感)があるか、便の形はどうか、も合わせて見るそうです。毎日出ないことだけで心配しすぎず、出し方や形の変化にも目を向けましょう。

食物繊維の目安として水溶性と不溶性を1対2で示した図

便秘と肌荒れは関係ある? 本で説明されていること

『新しい腸の教科書』は、便秘で肌が荒れると言われる理由の「一因」として、腸内細菌がつくる「フェノール類」という物質をあげています。腸内のバランスがくずれるとこの物質をつくる菌が増え、血液を通って肌にたまると、くすみや乾燥のもとになる、という説明です。

研究者が書いた専門書『美容とサプリメント』にも、同じ方向の見方が出てきます。お通じが滞って腸内細菌の顔ぶれがかたよると、腸の中でできた腐敗産物が体に取り込まれ、肌の働きに響く「可能性がある」という書き方です。

ただし、どちらも仕組みについての説明です。便秘の人の肌がどう変わったかを人数や期間を示して確かめた研究は、紹介した本には載っていません。一人ひとりの肌荒れにそのまま当てはまるとは限らず、便秘が肌荒れのただ一つの原因でもありません。たとえばニキビには、皮脂の量、角質が厚くなって毛穴がつまること、アクネ菌による炎症なども大きく関わります(『理論と実践エステティシャン』)。同書では、ケアのポイントの一つとして「食物繊維を摂り便秘に注意する」ことがあげられている、という位置づけです。

食物繊維「1日18g」の現実 ― 届いている人は少ない

『たんぱく質と腸の新常識』が紹介している厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食物繊維の1日の目標量は18〜64歳の女性で18g以上とされています。『人体の旅』が載せている一つ前の版(2015年版)の表でも、18〜69歳の女性は18g以上で、女性の目安は変わっていません。

ところが『たんぱく質と腸の新常識』によると、令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査で目標量に達していたのは、男女の中でも60歳以上の女性と70歳以上の男性に限られていました。同書は食物繊維を、今の食生活では「摂るのが難しい栄養素のひとつ」と表現しています。

『人体の旅』によると、1995〜2015年の20年間の推移では、20〜30代の女性は食物繊維などの摂取量が60歳以上より少ない傾向にありました。主食・主菜・副菜をそろえた食事も、年代が若いほどとられていないそうです。もともと届きにくいところに食事を減らすダイエットが重なれば、さらに足りなくなりやすいと考えられます。

18gをいきなり計算するのは大変です。『たんぱく質と腸の新常識』は、同じ食品ばかりに頼らず、いろいろな食品からとることもすすめています。量の見当をつけたいときは、パッケージの栄養成分表示に食物繊維の欄があれば、そこを見るのも一つの方法です。

食物繊維は量だけでなく「種類と増やし方」 ― 水溶性と不溶性

食物繊維には「水溶性」と「不溶性」の2タイプがあり、ほとんどの植物性の食品は両方を含んでいます(『理論と実践エステティシャン』)。『新しい腸の教科書』によると、水溶性は水分を抱え込んで便をやわらかくし、腸内の善玉菌のえさにもなります。例としてあげられているのは、海藻、ごぼう、もち麦です。

『たんぱく質と腸の新常識』では、水溶性と不溶性を「1:2」でとるのが理想とされます。ただ、多くの人で足りていないのは水溶性のほうで、同書は納豆や海藻をすすめています。

玄米に一気に切り替えると、かえって便秘になることも

白米を全部玄米に替えたら、かえってお通じが滞った。同じ本によると、こうした例は珍しくないそうです。理由は、玄米に多いのが不溶性のほうで、それだけが急に増えると便が硬くなりやすいから。試すなら、まずは1日のうち1食から始め、お腹の張りやお通じの変化を見ながら量を決めましょう。合う量は人によって違います。

水溶性と不溶性の違いは、別の記事であらためて取り上げる予定です。食物繊維が腸で何に変わるのかは短鎖脂肪酸の記事をご覧ください。

ダイエット中の便秘対策 ― 暮らしのヒント

本の説明をもとにまとめました。人で確かめたデータ(人数・期間)は本に載っていないので、目安としてお読みください。

  • 減らす量を決める前に、足す食品を考える。何を削るかより先に、海藻や納豆など足せるものを考えましょう
  • 1食に主食・主菜・副菜をそろえる
  • 食事を抜かない。食事を抜くことは、便秘の原因の一つにあげられています(『人体の旅』)
  • 水溶性の食物繊維を意識して足す。海藻、納豆、ごぼう、もち麦など。お腹が張りやすい方、過敏性腸症候群と言われたことがある方は、先に下の「食物繊維が合わない人も」をお読みください
  • 玄米は1日1食から。いきなり全部を切り替えない
  • 食事量を大きく減らしたときは、便の様子を見る。回数だけでなく、硬さや出しにくさも目安に

食物繊維が合わない人も ― 医療機関に相談したいケース

食物繊維や発酵食品は、だれにでも合うとは限りません。『新しい腸の教科書』では、とるとかえってお腹が張り、便秘や下痢を起こす人がいると説明され、小腸で細菌が増えすぎるSIBO(小腸内細菌増殖症)や過敏性腸症候群の人には避けるよう書かれています。ごぼうや豆などでガスや張り、便通の乱れがひどくなる方は、自己判断で増やし続けず、医療機関に相談しましょう。

次のような場合も、食事の工夫だけで様子を見ずに受診してください。

  • 強くいきまないと出ない状態が続く
  • 便秘が長く続いている
  • 便に血が混じる、お腹が痛む、意図しない体重減少がある

通院中・服薬中の方は、食事を大きく変える前に主治医に相談しましょう。妊娠中・授乳中の方も、自己判断で食事を変えず主治医へ。肌荒れやニキビが長引くときは、皮膚科への相談がおすすめです。

まとめ:食べる量を減らす前に、食物繊維を足す

  • 食事を抜いたり食物繊維が足りなかったりすると、便秘になりやすいと説明されている(『人体の旅』)
  • 便秘と肌荒れのつながりは、フェノール類などが一因とされるが、人で確かめたデータは本に載っていない
  • 女性の目標量は1日18g以上。届いていたのは、令和元年(2019年)の調査で60歳以上の女性と70歳以上の男性だけ(『たんぱく質と腸の新常識』)
  • 水溶性と不溶性のバランスを意識し、急に増やさない

今日は1つだけ選んで試してみてください。次の記事では、腸内細菌と体重の関係について、分かっていることと分かっていないことを整理する予定です。

よくある質問

Q. 毎日出ないのは便秘ですか?

A. 1日3回から3日に1回くらいまでなら正常の範囲とされ、いきみや残便感、便の形も合わせて見るそうです(『人体の旅』)。毎日でなくても、無理なく出ていれば心配しすぎなくてよいでしょう。

Q. 食物繊維はサプリだけで足りますか?

A. サプリメントは食品で、食事の代わりにはなりません。まずは主食・主菜・副菜をそろえ、海藻や納豆などを足すところから始めましょう。

Q. ヨーグルトを食べれば解決しますか?

A. 発酵食品は腸内環境に関わる食品として紹介されていますが、合う・合わないには個人差があり、かえってお腹が張る人もいると説明されています(『新しい腸の教科書』)。張りやガスが続くときは、医療機関に相談しましょう。

Q. 玄米に変えたら、かえって便秘になりました。

A. 不溶性の食物繊維が急に増えると便が硬くなりやすいとされています(『たんぱく質と腸の新常識』)。1日1食から試し、海藻や納豆など水溶性の食品も組み合わせてみてください。足してお腹の張りやガスが強くなるときは、それ以上増やさず医療機関に相談しましょう。

Q. ダイエット中だけ便秘になるのはなぜですか?

A. 食事を抜くことや食物繊維の不足は、大腸の動きが弱まるタイプの便秘の原因とされています(『人体の旅』)。減らす前に、足せる食品を考えてみましょう。

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