血糖値を急に上げない食べ方 ― 食べる順番・食前ナッツ・茶色い炭水化物と、やりすぎないコツ

サラダや海藻、焼き魚、豆腐、ナッツが並ぶ食卓で、野菜から箸をつける日本人女性の手元

「血糖値の急上昇(血糖値スパイク)は肌によくないらしい」。そう聞いても、きびしい食事制限は続けにくいものです。

前回の記事では糖化と肌の関係を、その前の記事では糖質を「断つ」より「置き換える」考え方を紹介しました。今回はその続きとして、「何を食べるか」より「どう食べるか」の工夫を、複数の本の説明から整理します。やりすぎないための注意点と、本からは分からないことも分けてお伝えします。食事と肌の全体像はダイエットと肌の基本ガイドにまとめています。

血糖値が急に上がると、なぜ気にされるの?

血糖値とは、血液の中のブドウ糖の濃さのことです。栄養学の入門書『栄養学ベーシック』によると、ごはんやパンのでんぷんは消化されてブドウ糖として吸収され、それが血液に入ることで食後の血糖値が上がります。入ってきたブドウ糖をいちばん多く引き取るのは、体を動かす筋肉(骨格筋)だと説明されています。

美容の面で気にされるのは「糖化」との関係です。皮膚科の専門誌の特集号『美容とサプリメント』では、食後の血糖値の急な上昇(血糖スパイク)がきっかけになり、肌の黄ばみなどに関わるとされるAGEs(終末糖化産物)ができると解説されています。くわしくは糖化の記事をご覧ください。美容皮膚科医が書いた『美肌循環』も、「血糖値を急上昇させないことは、エイジングケアのルール」としています。

今日からできる、血糖値を急に上げない食べ方

ここで紹介するのは、一般向けの本の著者による説明や、著者自身の習慣です。人で効果を確かめた研究の結果として示されているわけではありません。気になるものから試してみてください。

本で紹介されている順番をまとめると、野菜や海藻 → 肉・魚・卵・豆腐などのおかず → ごはんやパン、となります(『たんぱく質と腸の新常識』『美肌循環』)。

1. おなかがすいたところに、炭水化物から入らない

『美肌循環』の著者は、空腹のときに最初の一口を炭水化物にしないことをすすめています。ごはんやパン、麺より先に、おかずに箸をつけるイメージです。

2. 食事の少し前に、ナッツを少しだけ

糖質制限の記事でも紹介した、同じ著者の習慣です。著者は「食事の30分前にナッツを5〜6粒、よく噛んで食べておく」ことを習慣にしているそうです(『美肌循環』)。ナッツで小腹が落ち着くことに加え、クルミにはオメガ3脂肪酸やポリフェノール、アーモンドやピーナッツにはビタミンEが含まれる、と書かれています。あくまで個人の習慣で、量を増やすほどよいわけではありません。

3. 野菜や海藻など、食物繊維がとれるものを先に

消化器内視鏡の専門医2人による『たんぱく質と腸の新常識』は、居酒屋での頼み方を例にしています。まずサラダや海藻、枝豆、冷奴など食物繊維がとれる料理、次に刺身や焼き鳥などのたんぱく質、最後に具だくさんの鍋で、〆の雑炊やうどんは控えめに。最初に食物繊維をとるのは、血糖値の急上昇を防ぐためだと著者は説明しています。家でも、サラダや野菜の小鉢から食べ始めると取り入れやすいでしょう。

4. 朝ごはんにたんぱく質を一品足す

同じ本によると、空腹の朝に甘い飲み物や菓子パン、塩むすびだけといった糖質中心の食事をとると、血糖値が急に上がりやすいそうです。朝にたんぱく質を増やして炭水化物を控えめにすると、昼食後の血糖値もゆるやかに上がる、と著者は説明し、これを「セカンドミール効果」と呼んでいます。著者たちの朝食は納豆や卵、豆腐、魚など。いつもの朝ごはんに一品足すところから始めてみましょう。たんぱく質と肌の関係はこちらの記事にまとめています。

5. よく噛んで、食後は少し体を動かす

『たんぱく質と腸の新常識』は、早食いだと満腹のサインが届く前に食べすぎ、血糖値の高い時間が長引くとして、炭水化物はよく噛むようすすめています。食後に掃除や片づけなどの家事で体を動かすのもよい、と書かれています。

6. 白い炭水化物を「茶色い炭水化物」に替える

『美肌循環』は、白いごはんやパンを玄米・胚芽米・全粒粉パンなど精製されていないものに替えると、血糖値が上がりにくくなると説明しています。置き換えのコツは糖質制限の記事で紹介しました。なお同じ著者は、胃腸への負担を考えて玄米から別のお米に替えたとも書いています。『たんぱく質と腸の新常識』も、玄米に一度に切り替えるとお通じが変わる人がいるとして、まず1日1食から様子を見ることをすすめています。お腹の調子を見ながら取り入れましょう。

やりすぎは逆効果? 気をつけたい3つのこと

筋肉が少ない人は、食事の間をあけすぎない

『栄養学ベーシック』によると、筋肉がとても少ない人(やせ型の女性に多いとされています)は、ブドウ糖を受け止める余力が小さく、食後の血糖値が鋭く上がりやすい傾向があります。そのあとインスリン(食事のときに分泌されるホルモン)が効きすぎて急に落ちる、と上下しやすいそうです。

食後にひどく眠くなる、すぐおなかがすいて甘いものがほしくなる、急に集中できなくなるといったサインがあるやせ型の人は、1回の量を少なめにして回数を増やすほうがよいかもしれない、と著者は述べています。食事の間が長くあくと、血糖値が低くなりすぎるおそれがあるためです。筋トレなどで筋肉を増やすことも大切だとしています。こうしたサインが続くときは、食事で様子を見る前に医療機関に相談しましょう。

「きちんと守らなきゃ」がストレスになっていないか

同じ本は、ストレスも血糖値を上げる要因だと説明しています。食べたものを気にしすぎたり、ルールを守ること自体が負担になったりすると、消化にも血糖値にもよくないそうです。著者は、血糖値の調整には糖質の量以外にもさまざまなことが関わるとして、糖質を減らせば解決するとは限らない、という立場です。

食事を減らしすぎて「やせているのに血糖値が高い」ことも

『たんぱく質と腸の新常識』の著者は、クリニックで行う血液検査の解析で「やせているのに血糖値が高い」状態に注意していると書いています。血糖値を気にして食事をぐっと減らした結果、筋肉が落ちてしまうケースがあるという見方です。著者がまず挙げるのは、糖質の量よりも先に、たんぱく質を十分にとって筋肉を落とさないことです。同じ本の「我慢には限界があります」という言葉どおり、自分に合った続け方を見つけることが近道かもしれません。

「食べ方の工夫」で分かっていること・分かっていないこと

  • 紹介した工夫は、一般向けの本の著者の説明や個人の習慣です。何人を対象に、どのくらいの期間試したかといった人での研究データは、紹介した箇所には載っていません。どなたにも同じように当てはまるとは限りません
  • 血糖値の上がり方には個人差があり、筋肉の量やストレスでも変わると説明されています
  • こうした工夫で肌の見え方がどのくらい変わるかは、紹介した本からは分かりません

健康診断などで血糖値が高いと言われた方、通院中や服薬中の方、妊娠中の方は、自己判断で食事の内容や回数を変えず、主治医に相談してください。強い眠気やだるさが続くときも、医療機関に相談しましょう。

まとめ:今日は1つだけ選んでみる

  • 食後の血糖値の急な上昇は、糖化のきっかけになるという解説があります
  • 炭水化物から食べ始めない、食物繊維を先に、朝にたんぱく質を足す、よく噛む、食後に少し動く、茶色い炭水化物に替える、といった工夫が本で紹介されています
  • 筋肉が少ないやせ型の人は食事の間をあけすぎない、ルールをストレスにしない、食事を減らしすぎない、の3点に気をつけましょう
  • 全部を一度に始める必要はありません。今日は1つだけ選んで試してみてください

次の記事では、「脂質を抜くと肌が乾く」をテーマに取り上げます。

よくある質問

Q. 食べる順番は、毎回必ず守らないといけませんか?

A. いいえ。本の著者がすすめる方法で、守らないと意味がないと示されたものではありません。ルールを守ること自体がストレスになると血糖値にもよくない、という説明もあります(『栄養学ベーシック』)。できる日に取り入れてください。

Q. 食前のナッツは毎日食べたほうがいいですか? 食べすぎが心配です。

A. 必須ではありません。『美肌循環』の著者の習慣で、量は5〜6粒です。少量にとどめ、ナッツにアレルギーのある方は避けてください。

Q. 玄米が苦手です。

A. 玄米のほかに胚芽米という選択肢もあります(『美肌循環』)。パンを選ぶなら全粒粉のものも挙げられていますが、小麦でお腹の調子がすぐれない方は無理に取り入れなくて大丈夫です。主食を替えなくても、食べる順番や朝のたんぱく質から始める方法もあります。

Q. 食事のルールより、ストレスのほうが気になります。

A. ストレスも血糖値を上げると説明されています(『栄養学ベーシック』)。我慢を重ねるより、よく噛む、食後に家事で少し動くなど、負担の少ないものを1つ選ぶのがおすすめです。

Q. 血糖値が高いと言われました。この記事の方法を試してもいいですか?

A. 食事を変える前に、まず主治医に相談してください。通院中・服薬中の方は、指示されている食事や薬をご自身の判断で変えないようにしましょう。

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